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「私はあなたたちの言うことは聞きません。結婚はオオクニヌシさまとしようと思います。」
因幡の白兎が行ったように、ヤガミヒメは他の兄弟の神様ではなくオオクニヌシノミコトを選びました。
それを聞いた神様達は怒って、オオクニヌシノミコトを殺してしまおうと相談しました。
そして伯耆の国の手間の山の麓で、
「この山には赤い猪がいる。俺たちが追い出すから、お前はこれを持って捕まえろ。
失敗したらお前の命をもらうからな。」
とオオクニヌシノミコトに言うや否や、猪に似ている大きな石を火で真っ赤に焼いて、それを山の上から転がし落としました。
そしてオオクニヌシノミコトはその火石を掴もうとして、無残にも焼かれて死んでしまいました。
これにはお母さんが非常に悲しみ、高天原のカミムスビノミコト(神産巣日命)に相談しました。
カミムスビノミコトは生き返らせるためにキサガイヒメ(赤貝姫)、ウムガイヒメ(蛤貝姫)を遣わせました。
そのおかげでオオクニヌシノミコトはすっかり美青年に復活したのです。
しかしそれを見ていた兄弟たちは、今度は山へオオクニヌシノミコトを連れて行きました。
オオクニヌシは騙されて木の間に挟まれて死んでしまいました。
それを再び見つけ出したお母さんはオオクニヌシノミコトをもう一度よみがえらせ、こういいました。
「あなたはこのままでは本当に兄弟たちに殺されてしまいます。」
そういって紀伊の国のオオヤビコノカミ(大屋毘古神)へ避難しましたが、それでも兄弟たちはしつこく追いかけてきます。
オオビコノカミは兄弟の追撃からオオクニヌシノミコトを逃がしつつ、
「あなたの先祖であるスサノオノミコトがいる根の堅州国へ行きなさい。
きっとスサノオノミコトハあなたに良い知恵を授けてくれるはずです。」
と言いました。