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スサノオノミコトの四代後の子孫であるオオクニヌシノミコトが出雲の国を支配する様になったのは、理由があります。
元々兄弟の多いオオクニヌシノミコトですが、その兄弟たちは皆、因幡に住んでいる非常に美しいと評判のヤガミヒメ(八上比売)との結婚を望んでいました。
そのため因幡へ行くとなると兄弟たちは皆オオクニヌシノミコトに荷物を持たせて家来の様に扱いました。
軽々先へ進む兄弟の神々は気多の岬で伏せって泣いている毛のない兎に出会い、こう言いました。
「おい、そこの兎。体が痛いなら海水を浴びてから風に吹かれ、高い山の上で寝ていると良くなるぞ。」
その通りにしてみた兎は海水が乾くたびに身を刺す痛みを感じ、またも伏せって泣いていると、最後に遅れて通ったオオクニヌシノミコトがこう尋ねました。
「どうしてお前はそこで泣いているんだ？」
「私は隠岐の島に住んでいたのですが、この因幡に渡りたく、しかし渡る方法がなかったので、海の鮫にどちらの仲間の数が多いか数えて競争しようじゃないか、と持ちかけたのです。
お前の仲間を全て連れて来て、この島から気多の岬まで並んでみてくれ。
それを俺が踏んで走って数えよう。
それならどちらが多いかわかるだろう？と。
しかし最後の一歩でついうっかり馬鹿なサメどもめ、お前らは私に騙されたんだ、と口をついてしまったのです。
それですっかり皮を剥がされてしまって、泣いていたところ、さっき通りかかった神様たちが海水を浴びて風に吹かれて高い山の上で寝ていれば治ると教えて下さったのでその通りやってみたのですが、逆に酷くなってしまって困っているのです。」
「それなら今すぐあの河口まで行って、河の真水で体を洗いなさい。
その後は蒲の花の黄色い花粉を撒いてその上を転がりなさい。
そうすればあなたのキズは治るはずです」
とオオクニヌシノミコトは教えてあげました。
言われた通りにやってみて全快した兎は因幡の白兎と呼ばれ、オオクニヌシノミコトにこう言いました。
「先に通った私を騙したあの神様たちはヤガミヒメと結婚することはできないでしょうが、あなたならヤガミヒメと結婚できるでしょう。」